1950年代のロックンロールを聴いて、その誕生と歴史を知ろう

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ロックンロールは1950年代に誕生した。「ロックンロール」という言葉はもともと黒人のあいだで使用されていたスラングだったが、ラジオDJのアラン・フリードが自身の番組でR&B(リズム・アンド・ブルース)などの黒人音楽を白人向けに紹介する際に、「ロックンロール」と名づけて流した。1951年が、音楽用語としての「ロックンロール」が誕生した年だといわれている。

この記事では、そんな1950年代のロックンロールのなかから、歴史を知るうえで聴いておきたいアーティストや曲を紹介していこうと思う。

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エルビス・プレスリー(1935 - 77)

説明の必要のないキング・オブ・ロックンロール、エルビス・プレスリー。1954年にメンフィスのサン・レコードからシングル『That's All Right/Blue Moon of Kentucky』をリリースしデビュー。『Heartbreak Hotel』 『Hound Dog』『Love Me Tender』『Jailhouse Rock』『Can't Help Falling In Love』など多数のヒット曲を世に送りだした。後世のロックミュージシャンたちにも多大な影響を与えており、ロックの歴史を知るうえで聴かないわけにはいかないスーパースターである。

ファッツ・ドミノ(1928 - 2017)

ロックンロールの誕生以前からR&Bの分野でスターだったファッツ・ドミノ。1949年に『Detroit City Blues』でデビューすると、B面に収録された『The Fat Man』がいきなり大ヒット。その後も数多くのヒット曲を生みだし、1970年代末までのレコードの累計売上枚数は、エルビス・プレスリーやビートルズに次ぐ第3位だとされている。プレスリーにカバーされた『Blueberry Hill』や『 Ain't That A Shame』『I'm Walkin』『Blue Monday』などが代表曲である。

チャック・ベリー(1926 - 2017)

「チャック・ベリー・リフ」とも呼ばれる特徴的なギター・リフで知られるチャック・ベリー。あのジョン・レノンから「ロックンロールに別名を与えるとすれば『チャック・ベリー』だ」と称されるほどの人物である。ビートルズにカバーされた『Roll Over Beethoven』などで知られるが、もっとも有名なのはもちろん、ロックンロールのスタンダードナンバー『Johnny B. Goode』だ。映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のなかで使用されていることで知っている人も多いだろう。

リトル・リチャード(1932 - )

エルビス・プレスリーやチャック・ベリーらとともに、1986年に最初の「ロックの殿堂入り」メンバーに選ばれたリトル・リチャード。キレキレのシャウトをきかせたパワフルなボーカルは他の追随を許さない。『Tutti Frutti』『Long Tall Sally』 『Lucille』などのヒット曲が有名だ。黒人でありゲイというアイデンティティの持ち主で、差別の激しい時代を果敢に生き抜いた人でもある。

バディ・ホリー(1936 - 59)

ザ・クリケットというバンドを率いて活動したバディ・ホリー。ギター2本とベースとドラムス、という構成でバンドを編成し、のちのロックバンドの基本となる形を作った人物である。1959年に小型飛行機の墜落事故で若くして亡くなり、実質的な活動期間は非常に短いものに終わってしまったが、ビートルズやローリング・ストーンズなど、1960年代のミュージシャンたちに大きな影響をもたらした。『That'll Be the Day』『Peggy Sue』『Everyday』『Oh, Boy!』などで知られている。

ボ・ディドリー(1928 - 2008)

「ボ・ディドリー・ビート(ジャングル・ビート)」と称される独特の力強いビートを持った音楽を生みだし、後世のミュージシャンに大きな影響を与えたボ・ディドリー。1955年にリリースしたデビュー曲『Bo Diddley / I'm A Man』がヒットし、一躍スターにのし上がった。その後も『Crackin Up』『Road Runner』『You Can't Judge A Book By The Cover』などのヒット曲を残した。

ジェリー・リー・ルイス(1935 - )

「The Killer(殺し屋)」という愛称がつけられるほどの激しいピアノ演奏で知られるジェリー・リー・ルイス。1956年にシングル『Crazy Arms』でデビューすると、翌年に『Whole Lot of Shakin' Going On』が大ヒット。さらに『Great Balls of Fire』『Breathless』などでヒットを飛ばした。1950年代のロックンロールのミュージシャンには短命に終わった人も多いが、ジェリー・リー・ルイスは半世紀以上の長きにわたって音楽界で活躍することになる。

その他の曲やアーティスト

『Rock Around the Clock 』ビル・ヘイリー&ヒズ・コメッツ

ロックンロールの最初で最大のヒット曲といわれているのが、 ビル・ヘイリー&ヒズ・コメッツが1954年に発表した『Rock Around the Clock』である。1955年公開の映画『暴力教室』の主題曲として採用され、大ヒットを記録した。ロックンロールに詳しくない人でも、一度は耳にしたことがある曲だろう。

『Rocket 88』ジャッキー・ブレンストン&ヒズ・デルタ・キャッツ

世界最初のロックンロール・ナンバーはなにか、という問いに対する答えは人によって異なるが、そのなかのひとつとしてしばしば挙げられるのが、1951年に発表されたジャッキー・ブレンストン&ヒズ・デルタ・キャッツの『Rocket 88』である。その年のR&Bチャートの首位を記録したヒット曲。名義こそジャッキー・ブレンストン&ヒズ・デルタ・キャッツとなっているが、制作したのはアイク・ターナーと彼が率いたバンド、キングズ・オブ・リズムである。

まとめ

以上、1950年代のロックンロールのアーティストや曲についてざっと紹介した。

1960年代に「ロックンロール」は「ロック」へと変容し、著しい発展を遂げていくが、その前提にどのような歴史的背景があったのかを知るのは、たとえばビートルズやローリング・ストーンズなどの音楽を聴くうえでも重要なポイントである。

「ロック」について深く知りたい人は、まず「ロックンロール」について知ることから始めるのも一興だろう。