海外小説初心者におすすめ!読みやすくておもしろい名作・傑作

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翻訳された海外の小説を読むのが苦手、という人はわりと多いのではないかと思う。日本人作家による作品と比べると、どうしても文章が読みにくい。私も読書を始めたばかりのころはよくそう思っていた(正直、いまでも完全には克服できていない)。

今回はそんな翻訳ものが苦手だという方のために、読みやすくておもしろい海外小説を紹介したいと思う。

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『穴 HOLES』ルイス・サッカー

アメリカでベストセラーとなったルイス・サッカーによる児童文学作品。

砂漠の真ん中にある少年たちの矯正施設「グリーン・レイク・キャンプ」に無実の罪で放りこまれてしまった不運な少年スタンリー。キャンプでは人格矯正のためと称して毎日過酷な穴掘りをさせられ、乾いた喉もろくに潤せない理不尽な生活を強いられる。

そんな最悪な生活から逃れるべく、スタンリーはキャンプからの脱出を決意し、施設を運営する悪い大人たちに挑んでいく。

過酷な状況に立ち向かうスタンリーの勇気、施設で出会った仲間との友情と冒険、そして巧みに回収されていく物語の伏線に魅了される一作である。よくできた寓話のような極上のエンタテインメント小説だ。

『1ドルの価値/賢者の贈り物 他21編』O・ヘンリー

アメリカを代表する短編の名手であるO・ヘンリーの傑作を選りすぐった短編集。

庶民の哀愁とそれに対する温かなユーモアを味わいながら、意外性のある結末を楽しめるO・ヘンリーの作品は、短編小説の理想型のひとつである。

古い時代の文学作品だからといって、小難しいことはなにもない。実際、私は『多忙な株式仲買人のロマンス』を初めて読んだとき、思わず吹き出して笑ってしまい、「名作文学」というものに感じていたとっつきにくさがいっぺんに吹き飛んだ。

あまりにも有名な『最後の一葉』『賢者の贈り物』を含め、23もの短編が収められているので、お気に入りの作品が必ず見つけられるはずだ。

『飛ぶ教室』エーリヒ・ケストナー

ドイツ人作家のエーリヒ・ケストナーによる児童文学作品。

寄宿学校で生活する5人の少年たちの友情と、彼らを見守る大人たちのクリスマスの物語である。

まえがきで「子どもの涙が大人の涙より小さいなんてことは絶対にない」と語る作者が、それぞれに悩みや葛藤、家庭の事情を抱える少年たちに寄り添って紡ぐストーリーは、とても温かく心地よい。

そして、なんといっても、少年たちを優しく見守るふたりの大人、「正義さん」と「禁煙さん」のキャラクターがすばらしい。子どものときにこんな大人がいてくれたら、と思わざるをえないほどだ。

道徳とユーモア、そして人間賛歌に満ちた名作である。

『星の王子さま』サン=テグジュペリ

フランス人の飛行士で作家のサン=テグジュペリによる小説。

読んだことがないという人はいても、タイトルを聞いたこともないという人はほとんどいないだろう。1943年に刊行されて以来、世界中の人々に愛され続けている作品である。

「いちばんたいせつなことは、目に見えない」

ひどくありふれていて、ひねくれた気持ちでちょっと否定してやりたくなるような言葉を、奇をてらわず心の奥深くに届けてくれる、そんな小説だと思う。

子どもと、子どもの心を忘れない大人と、子どもの心を忘れてしまった大人のための、つまりはすべての人々のための、永遠の名作である。

※『星の王子さま』については、以下で長めに感想を語っているので、時間のある方あわせてどうぞ。

【私の偏愛本】『星の王子さま』サン=テグジュペリ

『雪のひとひら』ポール・ギャリコ

アメリカ人作家のポール・ギャリコによる小説。

本作の主人公は、なんと「雪」である。この雪というのは女性であり、女性の一生を雪のひとひらが生まれ、そして消えていく、その姿に託して描いたのがこの小説だ。

この世に生まれ落ちて経験するさまざまな喜びや悲しみ、愛する家族との出会いと別れ、そして最後に訪れる自らの死。平凡といえば平凡な人生のありさまが、雪の姿を通して詩的に美しく描かれていくのがこの作品の魅力である。

人生の意味を問いかけ続けてきた雪のひとひらが最期にたどり着く真理、そして小説を締めくくる最後の一文がなんとも感動的な一作だ。

まとめ

以上、5作品を紹介した。

どの作品も多くの人にとって素直な気持ちで楽しめる物語ではないかと思う。ページ数も短めのものばかりなので、ぜひ気軽に手にとってみていただきたい。